システム開発や保守において、有能な人材確保は死活問題になっています。
自社で一から人材を育てるのが現実的ではないケースも多く、SESの活用や人材派遣会社を経由した人材確保が一般化してきています。
近年特に注目されているのが、SESパートナーの募集です。
パートナーを募集することで人材供給の安定性を高め、業務の効率化につながります。
今回はSESパートナーの仕組みや、主要なメリットをまとめていきます。
SESパートナーとはなにか
SESは「System Engineering Service(システム・エンジニアリング・サービス)」の頭文字をとった略称で、労働力として技術者を派遣する契約形態を指します。
「SESパートナー」とは、安定した人材確保のために企業や技術力のあるフリーランスと契約を結び、労働力や業務をシェアする仕組みです。
協業企業とパートナーシップを結べば、不足する人材を相互に派遣し、より利益率の高い案件の受注や、長期の利益を見込める案件を受注しやすくなります。
フリーランスとの契約は長期で働ける職場を紹介しつつ、高度な技術者の確保も行いやすいのが魅力です。
必要に応じて最適な人材を確保することは難しいケースも多いため、あらかじめパートナーシップを締結し、安定性を高める工夫に乗り出す企業やフリーランスが増えています。
SESパートナーの主なメリット
SESパートナーにはさまざまなメリットがあり、多くの企業がパートナーを募集する理由にもなっています。
今や、SESをメインに事業を行う企業も珍しくありません。都度人材派遣会社にコンタクトをとるよりもパートナーシップを締結した方が安定した経営を目指せる場合も多いからです。
主なメリットは4つ挙げられます。
採用・育成コストの削減
安定的な人材確保が可能になる
人月単価が削減できるケースも
余剰人材の活用がしやすい
ひとつずつ解説していきます。
1.採用・育成コストの削減
SE分野は、採用・育成コストの高さが人材確保の最大の障壁になることが珍しくありません。
高度なスキルをもった人材は採用コストがかかるだけでなく、探すだけでも時間がかかるのが一般的です。
人材不足から案件を見送らざるをえない企業も多く、収益性悪化の主要な原因となるケースもあります。
パートナー企業やフリーランスが増えれば、それだけ人手の融通が利きやすくなります。
スポット的に高度な技術力を持った人材を確保するハードルも下がり、採用・育成コストの大幅な削減が見込めます。
単純に人材派遣会社へ打診するよりもスピーディーに人材が確保できるケースも多く、大きなメリットの一つとなっています。
2.安定的な人材確保が可能になる
SESのパートナー契約を行う場合、人材は1年程度の雇用契約を結んで派遣を行うことが一般的になります。
中長期の人材確保がしやすくなること、人材確保のルートが確保しやすくなることは大きなメリットです。
SESに特化した企業であれば高度なスキルを持った人材や、人月単価にあわせた人材の確保も容易になります。
フリーランスのパートナーの場合でも、直接仕事の打診が出来るルートが確保できるため、第三者を介する契約よりも話がまとまりやすくなります。
安定的な人材確保に役立つことも主要なメリットになっているのです。
3.人月単価が削減できるケースも
SES企業の中には、海外人材を積極的に採用することで人月単価の削減に成功しているケースもあります。
海外に拠点を作り、日本人技術者の管理のもとでシステム開発をすれば人件費の削減が可能だからです。
同程度の技術レベルの人材でも、海外の方が人件費が安くできるケースは多く、単価削減に活用できる場合もあります。
4.余剰人材の活用がしやすい
自社にSEがいる場合でも、常にスキルに見合った仕事の受注ができる、配置ができるとは限りません。
育成中の人材がいる場合も同様で、自社の受注案件では伸ばせるスキルが偏ってしまうケースもあります。
協業パートナーがいる場合は、人材が足りないときに人を派遣してもらうだけでなく、必要に応じて自社の人材を派遣するという選択肢が生まれます。
契約の種別によるものの、余剰人材の活用や、よりレベルの高い現場への派遣で将来的な収益性を高めることもできるのです。
人材育成やスキルアップへの活用も視野に入ります。
SESパートナーの収益構造
SESパートナーの収益構造は、人材を派遣してもらう場合と自社人材を派遣する場合で異なってきます。
それぞれの収益構造について解説します。
人材を派遣してもらう場合の収益
人材を派遣してもらう場合の主要な収益源は、営業手数料になります。
案件受注の収益と比較すれば副次的なものになり、それほど大きな利益にならない場合もあります。
重要なのは人材を派遣してもらった場合、給料の支払いだけでなく、交通費や社会保険料も自社で負担する必要があることです。
費用は外注費に分類され、収益のほとんどは人件費として消えることになります。
別の見方をすれば最低限の人件費で案件を回せるようになるため、余分なコストがほとんどかからず、採算性の調整がしやすいことがメリットになります。
人材を派遣する場合の収益
人材をパートナー企業に派遣する場合は、社会保険料などもパートナー企業が負担してくれることになります。
人月費の報酬から差し引く費用が少なくなるため、結果的に利益率が高くなることが多いのが特徴です。
自社に余剰な人材がいる場合は生産性自体が向上し、収益性のアップに貢献してくれます。
自社で開発、受注できる案件が少ない場合の派遣先としても有望になります。
SESパートナーを募集する際の注意点
実際にSESパートナーを募集して契約する際に、注意すべき点があります。
契約条件の確認
状況に応じて他の雇用形態と比較する
違法なSES契約にならないように注意が必要
契約にパートナー企業以外が関与している場合も
ひとつずつ解説していきます。
1.契約条件の確認
SESパートナーは非常にメリットが大きい一方で、契約の確認を怠れば負担が増える可能性も高まってしまいます。
これはパートナーの条件が企業や個人によって異なり、しっかりと内容をつめなければ他の手段で人材を確保した方が安上がりになる可能性もあるからです。
条件の精査と交渉は必須で、ただ契約するだけで満足しないことが重要になります。
SESのパートナーを募集している企業は多く、自社でパートナーを募集するのか、既にSESを提供している企業と協業するかで条件も大きく変わってきます。
特に新規でSESに関わる場合は、相場などの知識が不足しがちで、条件の確認が甘くなってしまう場合があります。
まずは複数のパートナー募集企業に打診を行い、条件の確認を行うなど相場を掴む努力も必要でしょう。
その上で条件を精査すれば、ミスマッチも防ぎやすくなります。
契約期間や条件、コストなど、確認すべき項目は非常に多くなります。
自社にとってのメリットとデメリットを洗い出し、より利益を生めるパートナーを選ぶことが重要です。
2.状況に応じて他の雇用形態と比較する
単発の案件の契約ではなく、中長期の契約を行うことでSESのパートナー契約を結ぶ恩恵を最大限に受けることができます。
しかしその一方で、派遣会社との契約のように、社会保険などの手続きを丸投げできず、事務的な負担が発生することに注意が必要です。
単純なコストだけでなく、契約に伴う手続きで増加する人件費などを踏まえ、単発での契約とどちらが良いか比較することも大切なのです。
契約の規模や期間の関係上、より短期の契約が可能な人材派遣会社を経由した方がプラスになることもあります。
必ず得をするやり方は存在しません。状況に応じた組み合わせ、採算性のおとしどころを探ることが大切です。
3.違法なSES契約にならないように注意が必要
SESパートナーの契約を進める上で、条件とともに確認が必要になるのが業務の合法性です。
SESを利用する場合、命令系統をしっかりと整える必要があります。
たとえば、仕事の発注企業が自社従業員やパートナー企業の社員に直接具体的な指示を行い、それに社員が従った場合は違法になる可能性があります。
発注先企業が直接指示、命令を行う場合は「派遣業」の範囲になってしまい、免許を持っていない企業が行えば違法になってしまうからです。
自社人材に対して周知の徹底や教育を行っていても、SESのパートナー人材が法律に詳しいとは限りません。
顧客から要望があった場合は、一度自社に確認し、その後に命令を下すなどしっかりとフローを整えておく必要があります。
パートナー企業やフリーランスが命令に従った場合、意図せず二重派遣などになる可能性もあるため、事前の周知と確認を行うことも大切です。
4.契約にパートナー企業以外が関与している場合も
SESパートナーを締結する場合、関係のない第三者が関与していないか確認をすることも重要になります。
パートナー企業やフリーランス以外の契約が絡んでしまうと、実質的な派遣業になってしまう場合や、違法性のある仲介が行われている可能性が出て来てしまうからです。
特にエンジニアにとって不利な条件が強いられるケースが多いため、契約状況の確認は必須になってきます。
注意義務を怠れば、自社の責任を問われる可能性もあります。
SESパートナーに関するご相談なら「ボーダーレスパートナーズ」へ
法令の理解や周知の徹底、各種事務的な負担などは生じるものの、多くの事業者がSESパートナーを募集しているのは、それだけ多くのメリットがあるからです。
人材不足が慢性化しているSEの人材確保は難しく、十分なスキルを持った人材がいないからこそ受注できる案件にも制限が加わりがちです。
SESパートナーを募集すれば人材や技術のシェアが容易になり、効率的な人材活用が目指せます。
受注できる案件の選択肢が増えれば、収益性を追及するだけでなく、自社で開発が困難な案件に人材を派遣し、ノウハウを持ち帰ってもらうことも可能になります。
人材のスキルアップや、業務範囲の拡大に寄与する可能性があり、チャンスに強い企業になれるのです。
SESパートナーの募集でお困りなら、ぜひボーダーレスパートナーズへご相談ください。
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