IT系企業にとって人材は最大の宝です。
優秀で優れた能力を持つ人材こそが企業力の源泉になりますが、中でも重要とされるポジションが「プロジェクトマネージャー」です。
仕事の規模が大きくなればなるほど現場を統括するプロジェクトマネージャーの能力が問われます。
ものの例えに「羊に率いられた狼の群れよりも狼に率いられた羊の群れのほうが恐ろしい」という言葉があることでもわかるように、チーム力はトップの指導力によって決まるというのは昔から知られている純然たる事実です。
どの企業も優秀なプロジェクトマネージャーを求めて人材採用に力を入れていますが、優れた人材がそう簡単に見つかるわけもなく苦労しています。
どうすれば優秀なプロジェクトマネージャーを採用できるのでしょうか。
今回は、IT企業が優秀なプロジェクトマネージャーを採用するためのポイントを紹介します。
なぜプロジェクトマネージャーが必要なのか
IT企業の企業力は、開発力や営業力などさまざまな実力の総合力として表れます。
特に現場作業は技術力の高い人材によって支えられるため、優秀な現場人材が多い企業ほど競争力が高いと評価されます。
企業力のことだけを考えれば現場人材の採用に力を入れれば成長につながると思われますが、なぜ現場人材よりも優秀なプロジェクトマネージャーが必要とされているのでしょうか。
プロジェクトマネージャーが担う重要な役割を、3つのポイントでご説明します。
全体を統括するリーダーの存在が円滑な業務を生み出す
責任の所在をはっきりさせる
コミュニケーションで部下のやる気を引き出し効率アップ
1.全体を統括するリーダーの存在が円滑な業務を生み出す
IT企業においてプロジェクトマネージャーが必要とされるのは、業務の円滑進行に欠かせない役割を果たしているからです。
IT企業の主力業務は開発や管理です。直接担当するのはエンジニアを中心とする現場業務担当者ですが、実際の業務運営は末端の人材だけでは成立しません。
案件の管理から必要な業務を配分しリソースを割り当てる、といったマネジメントがなければ業務はたちまち停滞してしまいます。
作業する人がいても誰がどんな作業をするのか、いつまでにどれだけ成果を出せばいいのかといった仕事全体を管理する人がいなければ現場は混乱するばかりです。
プロジェクトマネージャーとはプロジェクトにおける指揮官です。
どんなに優秀な人材を抱えていても有効活用できなければ宝の持ち腐れでしかありません。
プロジェクトマネージャーが、全体を見通しながら現場に仕事を割り振ることで、業務は初めて円滑に進行します。
必要なリソースを配分し納期までに求められる成果を出せるのはプロジェクトマネージャーの働きによるところが大きく、存在なしでは業務は成立不可能です。
2.責任の所在をはっきりさせる
プロジェクトマネージャーの果たすべき役割の中でも最も大きなもののひとつが「責任者として責任を取ること」です。
人の上に立つ立場の人にとって究極的に求められる役割とは責任を取ることに尽きます。
納期を守る、品質を約束するといった仕事上の基本的なことはもちろん、トラブル時の対応や謝罪など、最後に責任を取るべき立場としてプロジェクトマネージャーの存在は必須です。
責任を取るための立場というのは当然、楽な仕事ではありません。
優秀なプロジェクトマネージャーを採用するには、果たすべき責任に見合うだけの報酬と権限を与える必要があります。
3.コミュニケーションで部下のやる気を引き出し効率アップ
どんなに優秀な人材を集めたとしても、適切な管理が行われなければサボってしまうのが人間というものです。
プロジェクトマネージャーの役割には、部下がサボらないよう管理するのは当然として個々の能力を従前にいかすことが求められます。
そのためには部下のやる気を引き出すコミュニケーション能力が必要です。
悩みを聞いたり相談に乗ったりするのは効果的ですが、それ以外にもちょっとした気付きや発見をアドバイスしたり、単純に毎日きちんと挨拶するのも立派なコミュニケーションです。
ともすれば内側にこもりがちな人が多いエンジニア業界では、優れたコミュニケーション能力を持つプロジェクトマネージャーが大きな存在感を見せています。
現代社会ではプロジェクトマネージャー人材は不足気味
IT業界ではとても引き合いの多いプロジェクトマネージャーですが、その需要とは逆に人材不足が慢性化しています。
ただでさえ貴重な人材なのに、需要はいっこうに下がらないため企業間で激しい人材獲得競争が繰り広げられているのです。
需要があるのですからプロジェクトマネージャーを目指す人が増えてたくさんの人材が供給されても良さそうなものですが、なぜプロジェクトマネージャー人材は不足しているのでしょうか。
・要求される能力が高い
プロジェクトマネージャーとして要求される能力が高いことが人材不足の理由のひとつとして挙がります。
プロジェクトマネージャーには現場の実務に対する見識に加え多くの人員を管理する能力や予算、スケジュールなどのタスク管理能力、上司や取引先との交渉力やコミュニケーション能力といったさまざまな能力が高いレベルで求められます。
そのように厳しい条件を満たす人材がそう簡単に見つかるはずがありません。
条件を満たす貴重な人材の獲得競争が起きるのは当然ですが、要求水準が高いことで尻込みしてしまいプロジェクトマネージャーを目指そうとする若手がなかなか現れないのがIT業界の現状です。
・経験が重要視される
プロジェクトマネージャーのようなマネジメント業務は、プログラマーのような技術職と異なり客観的に能力を評価するのが困難です。
そのため採用においては過去の経験や実績が重要視されますが、そのことが原因で新規採用がなかなか進まないという問題があります。
誰しも初めての業務では未経験からのスタートになりますが、経験が重視されるプロジェクトマネージャーはが経験で採用されるのは困難で、非常に狭き門です。
経験不足で採用されにくいが経験を積む機械そのものが少ない、となれば新しい人材が育たないのは当然です。
・育成に不熱心
そもそもIT業界は人材育成にあまり熱心では無いという土壌があります。
スキルや知識は自分自身で学んで身につけるものという職人的な考えが根強く、プロジェクトマネージャーの役割を担う人材が不足しているという認識はあっても、自分たちで次代の人材を育てようという考えは希薄です。
育てる気がないのに新しい人材が出てくるほど、プロジェクトマネージャーは甘い仕事ではありません。
数少ないチャンスを活かした人や、他業種からの転職で何とかプロジェクトマネージャー需要をまかなっているものの、根本的な育成環境の課題が解決されない限り人材不足の解消は遠い夢です。
・現場での実績とマネジメント能力は別
一般的な企業では現場で実務を経験した後、管理職へと出世するのが通常のコースです。
しかし、エンジニア業界では現場での実務とマネジメント業務がつながっていません。
現場でどれだけ実績を残しても、エンジニアからプロジェクトマネージャーへと出世するルートが無いのは大きな問題です。
実務とマネジメントが異なる能力を要求される別業務なのは事実ですが、企業内での出世、育成ルートが確立されていなければ人材不足になるのは当たり前です。
プロジェクトマネージャーの探し方
さまざまな理由からエンジニア業界のプロジェクトマネージャー不足が起きています。
人材が不足しているからといってプロジェクトマネージャーを不在にするわけにはいきません。
なんとかして優秀なプロジェクトマネージャーを確保したいところですが、どのように探せばよいのでしょうか。
3つの代表的な方法を解説いたします。
自社で育成する
アウトソーシングする
人材紹介を利用する
1.自社で育成する
これまでプロジェクトマネージャーを自社で育成する企業は少数派でしたが、最近は違った動きが見られるようになってきました。
根本的な人材不足の課題を解決するために、自社でプロジェクトマネージャーを育成する企業が増え、徐々に成果が表れているのです。
自社育成のメリットは人材の囲い込みです。エンジニアは転職の多い業界ですが、積極的に転職したい人ばかりではありません。
安定を求めて一つの会社で長く働きたいという人も多く、エンジニアからプロジェクトマネージャーへと出世できるのならそうしたいと考える人材は少なくありません。
企業としても、安定して働いてくれるプロジェクトマネージャーが確保できるのは大きなメリットです。
デメリットとしては、成果が出るまでに時間がかかることと、育成のための金銭コストが発生することです。
人材育成は最低でも年単位で時間がかかります。今まさにプロジェクトマネージャーが必要でもすぐには成果が出ないので、急ぎの人材不足解決には不向きです。
さらに優秀な人材を育てるには研修費用など金銭コストも発生します。
ある程度資金と業務に余裕がある企業以外は、自社育成が大きな負担となってしまいます。
2.アウトソーシングする
期間単位あるいはプロジェクト単位で外部の人材を招聘する、いわゆるアウトソーシングも盛んに行われています。
プロジェクトマネージャーをアウトソーシングするメリットは、コストを最小限に抑えられることです。
必要な期間に必要な人材を雇用できるので余計な費用が発生しません。プロジェクトごとに最適な人材をプロジェクトマネージャーにおけるのもメリットです。
デメリットとしては、必ずしも希望する人材を確保できる保証がないことと、人によって業務品質にばらつきがあることです。
短期雇用が基本なので業務の継続性も確保しにくく、後継プロジェクトの発注があっても前回の経験を生かせないというデメリットもあります。
3.人材紹介を利用する
優秀な人材を確保したいのなら人材紹介を利用するのがオススメです。
転職コンサルタントや人材あっせん会社など、転職を希望する人と企業とを結びつける人材紹介を利用すれば、条件に合う人材に出会えます。
雇用できるかは契約条件次第ですが、独力で人材を探すのが簡単でないことを考えるととても便利で有力な選択肢です。
コンサルタントや仲介業者の中には、プロジェクトマネージャーの紹介に特化しているところもあります。豊富な人材を確保しているところに相談すれば条件に合った優秀な人材と出会える確率はグッと高まります。
さらに、採用相談などアドバイザーとしてのサービスを提供しているところに相談すれば、プロジェクトマネージャー採用に関するさまざまな悩みが解決できます。
優秀なプロジェクトマネージャー採用のためのチェックポイント
優秀なプロジェクトマネージャーを採用するためには、能力や経歴を見極める必要があります。
会社の力となってくれる優秀な人材を確保するためにも、チェックポイントを押さえておきましょう。
・技術力よりもマネジメント力
プロジェクトマネージャーに求められるのは、技術力よりもマネジメント力です。
現場の業務をこなせる高い技術力があるに越したことはありませんが、マネジメント力に欠けていては良いプロジェクトマネージャーにはなりません。
反対に、技術力はいまいちでも高いマネジメント力があれば優秀なプロジェクトマネージャーとして活躍できる可能性があります。
技術力に全くこだわらないのなら、他業種からの転職者でもマネジメント力さえあれば採用候補に挙がります。
・業務への理解
手がける業務への理解がなければ、良いプロジェクトマネージャーたりえません。
重要なのは、業務への理解であって自分でこなせるかどうかは無関係です。
専門知識が無くても、正しく業務を理解しているプロジェクトマネージャーであれば、きちんと管理を実行し円滑に業務を遂行します。
自分のやり方を一方的に押し付けるような、理解に欠ける人材では業務に期待できません。全体を俯瞰し、正しく業務を理解してくれる人材を選びましょう。
・資格やスキル
資格やスキルは、プロジェクトマネージャーを評価する一つの基準になります。
直接的にプロジェクトマネージャーに関わる資格としては、情報処理推進機構(IPA)が実施するプロマネが有名です。
試験制度のスキルレベル4に相当する高難度の資格なので、有資格者はかなり優秀な人材です。
その他にも人材育成に役立つコーチングスキルや、プロジェクトマネジメントの国際資格「PMP」など業務に役立つ資格やスキルはたくさんあります。
資格やスキルはたくさんあればいいというものではなく、数だけを評価するのは無意味です。
資格やスキルを業務にどう活かすのか、ヒアリングを通じて正しく認識することが大切です。
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優秀なプロジェクトマネージャーを採用するためには人材探しと採用面接が課題です。
その両方をクリアするのが人材紹介です。
人材紹介の専門業者は、優秀な人材情報を収集し企業の条件に合うように選別した上で紹介してくれます。
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